後方照応?

☆最初に代名詞やtheを伴う普通名詞が来て、後の主節で固有名詞が初登場したりする。

 

大学院の授業で。

グループプロジェクトで、自分たちで適当な素材を探して、英日・日英、2方向訳す。以下、英日の方で選んだ記事。Newsweekのウェブサイトから。

 

Models present kimonos created by Hiromi Asai, a Japanese stylist and kimono textile artisan, during New York Fashion Week. While various big name designers have adopted different takes on the style over the years, Asai wants the kimono to be seen as a universal style of dress.

 

"Newsweek"より。http://www.newsweek.com/2016/03/25/bringing-kimonos-back-436241.html

 

ニューヨークのファッションショーで着物を披露している日本人デザイナーの話。2番目の文章の「the style」をどう訳すかで悩んだ。

その前の「different takes」も難しいが、これは英辞郎などを参考にすると、まあ、「様々な解釈」「様々な手法」「様々な工夫」といった辺りか。

じゃあ、「the style」とは何か。「(ビッグネームデザイナーたちが)自分たちのスタイルに」と思ったのだが大間違い。この「the style」は、「the kimono」を指すのだという先生の指摘。

 

第1文に「kimono」は登場するが、第2文の「the style」はそれを指しているというよりも、同じ第2文の、しかも後半に出てくる「the kimono」を指しているのだと考えた方がよさそう。つまり、後ろの主節に出てくるものを、それより先に出てくる従属節の中で、「その〜」という形で指し示しているということ(ちょっと違うかな。でも、先に「the kimono」と書いてくれればいいものを、「the style」となっているため、何を意味しているのかが分からなかった)。

場所的には後であっても、主節で使う言葉の方が「本番」なのである。

Whereas I hate the style, my wife loves the kimono. なんて文章ができるかもしれない。

「妻は着物が大好きだが、私は大嫌いだ。」

 

同様に、

After he finished the work, Tom went to the fitness centre.

この最初の「he」も、もちろん全く別の人を指している場合もあるが、後半の「Tom」を指している場合もある(あるいはそのケースが多い)ので注意が必要。順番を逆にして、

Tom went to the fitness centre after he finished the work. なら、だいたいTom と he は同じ人か。