there の難しい使い方

There is (are) ~.  で「〜がある」。

(ちなみに、is か are かは後に続くもの(本来の主語)によるが、

いくつかのものが and で結ばれて続く場合は、最初に出てくるものの

単複に合わせるのが普通になっている。

There are a boy and two girls. は文法的に正しいのだが、

実はこれは今では不自然に響くらしく、

There is a boy and two girls. の方が自然だとか。)

 

また、特定の動詞を従えて、

There lived ~.   There seems to be~.

などという形でも使える。

 

さて、マーク・ピーターセンの本に、

It is only natural for there to be a reward.(褒美があってしかるべきだ。)

という例文があって、この「there」はいったい何だ、と思った。

 

何とも言いにくいのだが、この「there」は「there is ~」と同じように、

本来の主語(名詞)の位置に置かれる「『〜がある』というような意味を持った主語の代理っぽいもの」

という感じ。(ちっとも分からないかもしれませんが。)

 

辞書(三省堂『Wisdom』)を見ると、「there」の解説の中に次のような記述があった。

「この構文の there はさまざまな構文の主語の位置に置くことができる」。

以下はすべて、辞書に載っていた例文である。

 

I don't want there to be any confusion.(どんな混乱があっても困る。)

これは不定詞の主語だそうだ。

「there to be」で、なんとなく、日本語的に「〜がある」という感じかな、と思う。

 

It was not necessary for there to be two.(2つある必要はなかった。)

これは、to不定詞の意味上の主語を表す「for ~」のところに「there」が来ている。

やはり「for there to be」で、なんとなく「〜がある」という感じ。

しかし、「for」の後に「there」が来るというのが、どうも難しい。

これが一番上のマーク・ピーターセンの本に出てたのと同じ。

 

Democracy is based on the idea of there being no absolute values.

(民主主義は絶対的な価値観はないという考えに基づいている。)

これは「there」が動名詞の主語。

これは「there are no absolute values」が動名詞化したと考えれば、分かりにくくはない。

 

At least you were right about there being something here.

(少なくともここに何かがあるということについて君は正しかった。)

これも、「there」は動名詞の主語。

 

There being nothing else to do, we went to bed.

(ほかにすることが何もなかったので寝た。)

これは、「there」が分詞構文の主語。

動名詞と同じで、違和感ない。

 

 

Let there be light.(光あれ。)

この「there」は、原形不定詞beの主語だそう。

 

 

とりあえず結論的にいうと、これらは、

「there is (are) ~」という構文が、他の文の中に組み込まれたもの、と言えそうだ。

 

1 I want A to ~.(Aに〜してほしい)

2 There are many people in the party.(そのパーティにはたくさんの人がいる)

この2つを組み合わせて、

「私は、そのパーティにたくさんの人がいてほしい」と言いたい場合、

1のAのところに2の「there」が入り、1の「to」の後に2の「are」が動詞の原形(be)として入って、

 

I want there to be many people in the party. 

 

また、

1 It is necessary for A to ~.(Aが〜する必要がある)

2 There are three.(3つある)

この2つを組み合わせて、

「3つある必要がある」と言いたい場合、

1のAのところに2の「there」が入り、1の「to」の後に2の「are」が動詞の原形(be)として入って、

 

It is necessary for there to be three.

 

となるわけだ。難しい。

 

 

 

*追加

 

「英辞郎」でいろいろ調べていたら、

 

On finding there to be ~

 

というフレーズを含む例文がたくさんあった。すべて、契約文書のような、法律がらみの文言のようだ。

日本語訳は「〜が存在することを確認した場合、」という感じ。

「find」は that節を続けることができるから、書き換えると、

 

On finding that there is (are) ~

 

と同じことなのだろう。

 

On finding there to be ~ は、find が、

I found her to be a smart young girl. (= I found that she was a smart young girl.)

といった使い方ができることから来ているのかな。

 

つまり、

 

I found that there were three people.

は、

I found there to be three people.

と書き換えることができる。かな。